今日は長期保有先であるパラカの銘柄分析を書いてみます。

【事業について】

この会社はコインパーキングの管理を専業でやっていて(数年前からは太陽光発電事業も始めました)、安定した売上、利益の伸びが特徴です。



リーマンショック近辺(07年→08年)の売上、利益を切り取っても、売上は増加を続け、利益も2割減程度に留まっています。景気後退局面に強いビジネスであることが確認できます。

(※景気後退時は人の外出が少なくなるのでコインパーキングの需要は減少しますが、売上の推移から当社の契約残高の伸び、投資の伸びで相殺されることが確認されます。損益は後述の契約条件のため若干上下動しています)




当社は自己所有駐車場を増やして、ストック収入を増やす戦略を重点的に行っていて、その資金はおおむね20年固定の銀行借入で賄っているそうです。
調達レートを上回る運営利回りを達成できれば、当社の利益は伸びる形になり、今のところそのような形で利益増加に繋がっています。


今期は30億円投資する予定で、今期の純利益予想13.4億円からみると攻めの姿勢です。現在4割弱の自己資本比率をあまり減らさない範囲で、できるだけストック収入を増やそうという方針が伺えます。

そうはいっても、当社は依然賃借土地上に展開するコインパーキングの比率が大きいです。車室単位で、85%が賃借物件。

下の図のとおり、固定方式の賃借がほとんどですが、要は固定料金を土地の貸主に支払い、当社がコインパーキング収入をそのまま受け取る契約形態です。還元方式は少ないですが、コインパーキング収入の一定割合を貸主に支払う契約形態です。

固定方式の賃借がほとんどであるため、賃借物件のパーキング稼働率が当社の売上、損益にダイレクトに跳ね返ってくることになります。



既存のパーキング稼働率は、(データ抽出の仕方には恣意性を感じますが)採算が良くなっているようです。



それでは、賃借物件は順調に伸びているのかについてですが、残念ながら先週の2Q発表時点では大型契約の解約により解約率が上昇しています。新規契約はある程度積みあがっているので、純増トレンドに変化はありません。



以上のとおり、事業はかなり堅調に推移しており、事業特性上、今後も概ね同様の推移が期待されます。



【株主対策について】

当社は2015-7-6に株主優待制度を導入しました。単元保有で2,000円分のQUOカード。 


これは、お金が余ってるからQUOカードでも配るか、といった話ではなく、昨年1月から10月にかけて日成ビルド工業からの株式買い集め攻勢を受けていたことに対して、株価を高くして対策しようとしたものと思われます。



この期間に、日成ビルド工業は当社株を(報告義務なし、5%未満)→16.9%まで買い進めました。

当社はQuoカード発行決定の後にも
【当社役員向け有償新株予約権発行の決定】2015-7-31 最大希薄化率4% 
【株式給付信託型 ESOPの導入】2015-7-31   最大希薄化率2.5%

を発表し、日成ビルド工業の持ち株比率を減らすべく施策を打ち続けました。


当社の株式を買う個人投資家にとって何が影響するかというと
・単元保有する分には利回りが妙に高まる(優待コジキ)
・多数の株式を保有するには、今後も行われるであろう、日成ビルド工業対策の既存株主の権利希薄化プログラムに神経をとがらせる必要がある(現に6.5%の希薄化はほぼ確定している)

といったことは頭に入れておいた方がよさそうです。日成ビルド工業と仲が良くなればTOB案件化もありえたのですが、今のところは敵対している様子に変わりはなさそうです。日成ビルド工業はあと数%買えば保有2割超になり、パラカを持分法適用会社に入れられる状況のため、今は停滞中ですが、今後の動向が注目されます。

※この辺を詳しく知りたい方は、現在休止中ですが、実力派投資家たくどんさんの先行研究
パラカ(4809)の銘柄分析 日成ビルド工業によるTOBの可能性はあるのかないのか

パラカ VS 日成ビルド工業 優待Wars!(パラカが株主優待を新設)

をご参照ください。


【まとめ】
パラカは、個人的には安定したビジネスの成長が期待できるストック銘柄として保有しており、その方針は今のところ変わりはありません。先週の2Qでも契約駐車場の稼働率が上がり、改めて好調さを確認した次第です。

他方で、日成ビルド工業対策の株式希薄化は、当然個人株主にも被害が及ぶため、長期保有をするにせよ、日成ビルド工業が今後どう動くか、パラカがどのような対策を打つかに注目が必要そうです。

※投資は、損しても得しても自己責任で!